転職エージェントにはあらゆる職種や転職者の層を広く網羅している総合型と、
転職者の職種や年齢などを分けたときに強い(支援実績が豊富な)特化型に分かれます。
大手転職エージェントでキャリアアドバイザーとして働いていた現役人事の筆者が、
それぞれの違いと、転職者の状況別のおすすめの使い分け方法をご紹介します!
総合型
総合型はあらゆる職種や転職者の層を広く網羅しているエージェントです。
業界1位のリクルートや2位のdodaなどが総合型になります。
知名度や求人数、転職支援実績が圧倒的に多く、情報収集のためにも登録しておくことがおすすめのエージェントです。
転職エージェントに求人を出す企業の視点から考えると、
まずは対象者に自社の求人の存在を知ってもらう必要がありますので、
多くの転職者が登録している総合型の転職エージェントは、
たくさんの候補者に自社の求人を知ってもらうためにも活用するケースが多いかと思います。
ものすごくニッチな技術や専門性を持った人材のみを採用したいというケース以外は、
たくさんの求職者の登録があるエージェントに求人を出しておけば、
自社に合う人材に応募してもらえる可能性も高まります。
ちなみにエージェントは成果報酬型(入社が決まった段階で企業側からエージェントに報酬を支払う)のところが多いので、
求人を出すだけでは企業側には費用は発生しません。
そのため、求職者の多い総合型エージェントには、とりあえず求人を出しておく企業も多いかと思います。
特化型
総合型と比べ、転職者の職種や業種、年齢や年収などにより特化させ、優位性を出しているエージェントもあります。
ビジネスの戦略上、同じ総合型では求人数や転職者の登録数、実績で見劣りしてしまうことなどから、
自社が強みとするセグメントに特化しているエージェントです。
業種・職種特化型
業界や職種をしぼった特化型エージェントです。
「介護業界」「医療系」「看護」「薬剤師」「エンジニア」「IT業界」などがあります。
そのエージェントがビジネスとして成り立つくらい、求人と求職者がいる必要があるので、
人手不足と言われる業界・職種が多いです。
業界や職種に特化しているため、エージェントも専門的な話や同業の情報なども話しやすく、
より専門的なアドバイスをもらえる可能性が高まります。
総合型エージェントでは
ちなみに、筆者がいた大手の総合型エージェントでも、実は内部では業界や職種で担当が分かれていました。
このときの業界・職種というのは、転職希望者の”現在の”お仕事の業界・職種により振り分けられます。
筆者がエージェントに入る前は、転職者が希望する転職先の情報を提供できるように、
希望の仕事で分かれているのかと考えていましたが、違うんですね。
転職活動では、新卒と違い、これまでの経験から何ができるのかを明らかにし、
それを売りにして転職することになります。
そういった意味では求職者の”現在”在籍している業界・職種に詳しいアドバイザーの方が、
より正確にその人の強みを見出したり、転職理由を整理することに長けていると言えます。
また、転職ではキャリアチェンジだけではなく、今と同じ仕事や業界でキャリアアップを目指す
という方も多くいるため、現職に合わせる方が合理的なのかもしれません。
年齢・年収特化型
転職者の年齢や年収でセグメントをして、差別化をはかっているエージェントもあります。
「第二新卒向け」「ハイクラス向け」などがこれにあたります。
取り扱っている求人やこれまでの転職支援の実績から、この層の転職支援を強みとしているエージェントになります。
年齢や年収でセグメントされたエージェントの強みは、自分と同じ年齢層や年収帯の転職者の支援実績が豊富なため、
転職者に必要な情報などを先回りして提供してくれる可能性が高まるところです。
例えば、第二新卒であれば書類作成や面接対策など他の転職者もよくつまずくポイントを
先回りしてアドバイスしてくれたりします。
ハイクラス向けであれば年収交渉や市況感、ライバルの情報を得られるなど、
その人の状況に合わせた対応の実績が多いので、安心できるかと思います。
総合型エージェントでは
ちなみに、こちらも筆者が在籍していた大手総合型のエージェントでは、
業種だけではなく年齢層や年収でもフィルターをかけていました。
ただ、少なくとも筆者が在籍していた5年ほど前までは、機械的に登録者をいくつかの条件で振り分けていくような形をとっており、
例えば求職者が「ハイクラス向けがいい」と思っていても、業種の方で振り分けられることもあったと思います。
そもそも振り分けられていること自体、転職者には知られていないかと思います。
そういった意味では、総合型エージェントで求人情報の量を確保しつつ、自分の希望に合わせた特化型エージェントも併用すると、
違った視点からアドバイスや問いかけ、情報提供をしてもらえる可能性が高まるかと思います。
その他
他にも「地域特化型」や「体育会出身者向け」など、さまざまな強みを持ったエージェントがあります。
おすすめのエージェント活用方法・選び方
筆者のおすすめのエージェント活用方法は、まずは総合型のエージェントに2〜3個登録し、
追加で自分がもっとも必要としている分野に強い特化型エージェントにも登録する方法です。
それぞれのエージェントの種類別におすすめの選び方をご紹介します。
総合型
総合型はなんといっても情報の量が魅力です。
以下の視点で選択されることがおすすめです。
- 求人数は多いか
- 担当のアドバイザーは合うか
全体の求人数
まずは全体の求人数の多さを確認した上で登録することをおすすめします。
これは特化型も共通ですが、求人が少ないと営業が激しくなる傾向があります。
どうしてもその求人で決まらなければ、エージェントとしても実績にならないからです。
ゆくゆく複数の選択肢から余裕を持って決められるようにするためにも、
しつこくエージェントから営業をかけられて不快な思いをしないためにも、
できるだけ求人数の多いエージェントを利用することをおすすめします。
自分が受けたい求人の数
また、全体の求人数の多さも大切ですが、さらに重要なのは
「自分が受けたい求人が何件あるか」です。
これは登録後に自分の経歴や希望を登録し、マイページ等から見ていかないとわかりません。
そのため、総合型も1つでは心許ないので、2〜3個登録しておくことがおすすめです。
担当アドバイザー
また、担当アドバイザーが合うかどうかも転職活動を進める上では重要になります。
複数登録しておけば、より自分に合うエージェントと一緒に転職活動を進められます。
特化型
第二新卒向けエージェントの活用がおすすめの人
- 初めての転職で転職活動をどう進めたら良いかわからない
- 書類の添削や面接対策などを手厚くフォローしてほしい
上記は大手のエージェントでも教えてもらえますが、
大手エージェントではアドバイザー1人あたりが担当する転職者が多いため、
あまり時間を割いてもらうことができない傾向にあります。
そういった意味では、手厚いフォローを希望される方は、
第二新卒に特化していたり、中小のエージェントも併用されることがおすすめです。
※ただし、先ほどお伝えした通り、求人数が少ないエージェントは、少ない求人をゴリ押しされることもありますので、自分の意思を持って、自分でも情報を調べながら進めることが大切です。
業種特化型がおすすめの人
- 自分が今いる業種向けのエージェントがある人
業界特化型の方が総合型よりもエージェントの専門性が高い、そういった情報がたくさん入る可能性があります。
また、特化型エージェントにしかない求人もありますので、
ご自身の働かれている業界・職種のエージェントがある方は、業界・職種エージェントにも登録されることがおすすめです。
キャリアチェンジ希望でも現職の特化型エージェントも登録した方がいいの?
キャリアチェンジの場合でも特化型エージェントも活用されることをおすすめします。
エージェントの方が詳しいので、自己分析の役にも立ちますし、自分と同じ状況の人の情報をたくさん得られる可能性があります。
ただし、他業種の求人が総合型に比べると少ない可能性も高いので、総合型との併用をおすすめします。
ハイクラス向け
- 年収アップを狙いたい人
- 同業や同職種での転職を考えている人
- 30代以降
年収アップを狙いたい人、30代以降はハイクラス向けエージェントの併用もおすすめです。
ハイクラス向けは登録時点で現在の年収でフィルタリングされることがほとんどのようですが、
当てはまる場合はぜひ活用をおすすめします。
また、年収アップなので、多くの場合は現在の仕事や業種と似た求人が多くなるかと思います。
もしキャリアチェンジを狙っている場合は、求人情報は総合型などの方が多く見られるかと思います。
地方向け
転職したい地域が対象地域にあるエージェントがある場合は登録されることをおすすめします。
例:東北地方向け など
大手の総合型エージェントは大都市圏の求人は多いですが、地方はどうしても少ないところが多いです。
そうなると地元のハローワークを薦められるケースもあります。
もしご自身が転職したい地域の求人を扱っているエージェントやサイトがあれば、ぜひ活用をおすすめします。
いかがでしたでしょうか。
エージェントもたくさんあり、違いや自分がどれに登録すれば良いかわからないケースも多いと思います。
うまく活用して転職成功につなげていきましょう!