「底辺職」とは?周りの目が気になる人へ伝えたいこと

    「底辺職」とは、大学生向けの就職活動情報サイト「就活の教科書」が掲載した記事で使われた言葉で、

    同記事内で「年収が低い」「回避するべき」などといった強い言葉を使われており、多くの批判が集まりました。

    「底辺職」とは何か、そういった仕事は選ばない方がいいのか、

    キャリアアドバイザーとして実際にその仕事をされている方々に話を伺って感じたことをお伝えします。

    目次

    「底辺職」とは

    冒頭の「就活の教科書」の記事では「底辺職」として、「①土木・建設作業員」「②警備スタッフ」

    「③工場作業員」「④倉庫作業員」「⑤コンビニ店員」「⑥清掃スタッフ」「⑦トラック運転手」

    「⑧ゴミ収集スタッフ」「⑨飲食店スタッフ」「⑩介護士」「⑪保育士」「⑫コールセンタースタッフ」の

    12の職業があげられていました。

    この記事であげられていた特徴として「肉体労働」「誰にでもできる仕事」

    「同じことの繰り返しであることが多い」ということがあげられ、

    デメリットとして「年収が低い」「結婚のときに苦労する」「体力を消耗する」

    などということがあげられていました。(該当の記事はすでに削除されています)

    実際はどうなのか?

    筆者はエージェントにいたころに、これらの職業の方々にお会いしてお話しを聞いたことがあります。

    転職相談に来ている方々なので、「大変だった」「辞めたい」というお話もたくさん伺いましたが、

    やりがいを感じられて一生懸命に働かれているお話もたくさん耳にしました。

    実際にそのお仕事をされている方々に話を聞いたからこそ感じる違和感もありましたので、お伝えします。

    年収に関して

    ここにあがっている職業のなかにも高収入を得られるお仕事もあります。

    建設業は専門職ですので、資格を取得したり職位をあげていくことで管理の仕事も任されるようになり、

    給与が上がる傾向にあります。

    他の職種についてもチームでお仕事をするものが多く、

    その拠点のマネジメントの業務が発生して職位も給与もあがる傾向がありますし、夜勤手当てがつくものもあります。

    雇用形態や会社によっては、もっと給与を上げた方が良いのではないかと考えられるケースもありますが、

    一概には言えないのではないかと思います。

    また、職業を選択する際、年収は大切な要素の1つですが、「年収さえ高ければ良い」と言う人は少ないかと思います。

    仕事の内容や働く環境など他の要素も総合的に考えた上で、その年収が本人にとって納得できるものかが重要になってきます。

    「誰にでもできる仕事」かについて

    また、「誰にでもできる仕事」という考え方も気になります。

    そもそも仕事は多くの場合においてどの職種も代わりがきくことがほとんどですし、

    組織で仕事をしているのであれば、むしろ代わりがきくようにきちんと仕組み化や情報共有ができていなければ

    その人の能力が低いか、自分の存在意義を見出すために仕事を抱え込んでいるか、

    あるいは組織がきちんと機能していない証拠と考えます。

    また、これらの職業に限らず、多くの仕事ではくり返しの業務が発生します。

    この記事では特定の職種を指しているようですが、実はほとんどの仕事に対して言えることでもあると思うのです。

    職業の価値を決める基準

    職業を選ぶ基準は人それぞれです。

    得意なことやどうしても嫌なこと、仕事で得たいことややりがいなどの価値観や比重が

    人それぞれの状況や考え方によって大きく異なります。

    自分の価値観を整理し、自分が最も納得できる選択をすることが重要です。

    筆者の例

    例えば、筆者の場合は満員電車に乗ることが非常に辛いため、

    満員電車に乗る仕事はなんであれ絶対に選びたくない仕事になります。

    甘えや贅沢と言う人もいるかもしれませんが、筆者にとっては仕事選びの際に最も重視することであり、

    実際に新卒から働いているすべての会社(東京)を選ぶ際に、この基準をクリアしていることを第一条件としてきました。

    筆者にとっては、たとえどんなにやりたい仕事や憧れの会社、他人から羨まれるような仕事であったとしても、

    満員電車に乗らなければいけないという時点で選択肢からはずれます。

    それくらい重視しているポイントなのです。

    他にも例えば、人から感謝される仕事に最もやりがいを感じる人、社会の役に立ちたい人、

    人に何かを売ることがどうしても苦手な人、人と話すことが苦手な人などさまざまです。

    その人にとって何が耐えられないほど辛く、どういうことにやりがいを感じるかは、

    決して人と比べるものではないのです。

    どうしても人から羨ましがられる仕事に就きたい人は

    もし価値観を整理した結果、「人から羨ましがられる職業に就くことが自分にとっては1番重要」と考える人がいた場合、

    その羨ましがられたい「人」、つまり「誰から羨ましがられたいのか」を考えることをおすすめします。

    このような考え方をされる方は何かしらの経緯があり、

    例えば親や学生時代の同級生など、自分のことを羨んでほしいと考えている相手がいる場合が多いように思います。

    まずは自分が誰を意識しているのかを明確にすることで、本当にそれを叶えることは重要なのか冷静に考えられる一歩となります。

    たとえ自分が望む人たちから羨ましがられる職業に就いたとしても、毎日その職場に通い、その仕事をするのは本人です。

    また、その羨ましがった人たちも、あなたのことを羨む瞬間があったとしても、ずっとそのことを考え続けることはなかなかないと思います。

    それを踏まえた上でも、その人たちから一瞬羨まれることがそんなに自分の人生において大切なのか、

    よく考える必要があると思います。

    まとめ

    職業を選択する上で最も重視すべきことは自分の価値観をきちんと理解し、その価値観にあった仕事を選ぶことです。

    そうでなければ毎日長い時間を使う仕事で、自分が辛い思いをすることになるだけです。

    そういった意味では、就職人気ランキングなども、この考え方に通じるものがあると筆者は考えます。

    周りが「いい会社」「いい仕事」といっても、自分にとって本当に「いい」とは限りません。

    また、過去何年も人気ランキング上位であった業種もコロナ禍で大きく順位が入れ替わりました。

    周りの人からの評価は時代の流れやそのときの状況によって変わってしまいます。

    変わっていってしまう周りに流されずに、自分の価値観を把握して自分にあった職業を選択することが重要です。

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